協会保証付融資の資金調達方法
ベンチャー企業や中小企業の方が新規事業や資金繰りに困ってしまった場合、融資を考えると思います。そんなときに、耳にするのが「協会保証付融資」です。
今回はその「協会保証付融資」についてお話しします。
協会保証付融資とは
信用保証協会というのは、公的な機関なのですが、簡単にいってしまえば、お金を借りる事業主の保証人になってくる機関のことです。
信用保証協会は、各都道府県、横浜市、川崎市、大阪市、名古屋市、岐阜市に合計52の保証協会があります。
協会保証付融資の限度額
中小企業・小規模事業者1人に係る保証限度額は、中小企業信用保険における普通保険の限度額2億円(組合4億円)と無担保保険の限度額8,000万円(組合も同額)を合わせた2億8,000万円(組合4億8,000万円)となっています。
協会保証付融資の条件
協会保証付融資を受けるには、まず条件を満たしていなければ融資を受けることができません。その条件について順に説明しましょう。
企業規模(資本金・従業員数)
業種 | 資本金 | 従業員数 |
---|---|---|
製造業など(建設業・運送業・不動産業を含む) | 3億円以下 | 300人以下 |
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) | 3億円以下 | 900人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
小売業・飲食業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
ソフトウェア業/情報処理業 | 3億円以下 | 300人以下 |
旅館業 | 5千万円以下 | 200人以下 |
医業を主たる事業とする法人 | ー | 300人以下 |
業種
ほとんどの商工業の業種についてご利用になれますが、農林漁業や金融業など一部の業種は保証対象外となります。
また、許認可・届出等を要する事業を営んでいる(または、営む)場合は、当該事業に係る許認可等を受けている(または、受ける)ことが必要です。
区域・業歴
原則として、各信用保証協会の管轄区域で事業を営んでいる必要があります。申込先の信用保証協会が管轄する都道府県(市)において事業実態があることが条件となります。また、保証制度により要件として業歴が定められている場合があります。
信用保証協会の審査のポイント
協会保証付融資を銀行から受けるには、信用保証協会の保証審査を受けなければなりません。
信用保証協会では4つの審査をポイントを挙げています。順に説明しましょう。
①保証資格があること
信用保証協会は会社であればどんな会社でも利用できるわけではありません。
信用保証協会が利用できる会社なのかどうか、つまり、「保証資格」があるかどうかです。
②資金使途
信用保証協会が保証を行う会社の借入は、その会社の事業に関わる範囲内のものに限定されます。具体的には、運転資金と設備資金です。
運転資金ということで協会保証付融資の借入を行い、実際は第三者への貸付に流用したとか、設備資金ということで協会保証付融資の借入を行い、実際は全部または一部を運転資金に流用したような場合は、その後の新たな信用保証協会の保証が受けられなくなります。
③返済能力
返済能力の審査は最大のポイントです。返せないとなると信用保証協会は銀行に対して代位弁済をしなければなりません。そうならないように返済能力の審査は厳しいといわれています。
返済能力の審査は
が中心に行われます。この審査にいたっては、銀行と同じ審査目線になります。
④経営者
これは経営者そのものの審査です。真面目に会社経営を行っていれば、まず心配することはないでしょう。
協会保証付融資のメリットとデメリット
協会保証付融資のメリット
信用保証協会の保証さえ付けば、銀行から融資を受けやすくなります。信用保証協会が保証するかどうかの審査もありますが、それは銀行の審査よりゆるいです。
また、長期(5年以上)の融資が受けやすくなる上に、金利が、信用保証協会の保証なしで借りる場合より安くなる場合が多いです。
デメリット
信用保証協会へ支払う保証料がかかります。
協会保証付融資は視野に入れるべき
中小企業の方は、協会保証付融資を視野に入れた方が何か資金繰りに困って、銀行に融資してもらえない時に大いに役に立つでしょう。
しかし、まれに信用保証協会の保証が付いても、銀行の考えによって融資を実行しない場合があります。そういった懸念もありますが、銀行からの融資が困難な方にとっては損ではないと思われます。